写真を飾ってみよう(4)/額縁をオーダーメイドしてみよう
オーナーズブログ「おうちプリントのススメ編」について説明していきます。このコーナーは写真を撮ることが好きで、パソコンでRAW現像まではするけれどプリントはあまりしたことがないという方を対象にかいています。
おうちプリントのススメ編、第10回目。
前回は、書斎部屋のディスプレイバーを紹介しました。今回は、オーダーメイド額縁のススメについて説明していきたいと思います。
写真やプリントに凝り始めてくると額縁にもお気に入りのものを使いたくなってきます。ネットショッピングで素敵な額縁を探すのも楽しい作業ではあるのですが、既製品では自分の要望をすべて満たしてくれる額縁はそうそう見つからないものです。
既製額縁の不満点は、
額縁としての使いやすさ、カスタマイズ性、汎用性が高い額縁ほど使われているフレームはアルミやステンレス、樹脂などの無機質な素材のものばかり。個展や美術展で展示するならそれでも構いませんが、自分の家に飾るものであれば個人的には木製額縁を飾りたい。
そうかといって、オシャレな木製額縁を探そうとすると額裏の構造や造りが雑であったり、写真を入れ替えにくかったり、台紙マットが0.5mm以下のペラペラのものであったり、そもそも台紙マットを入れるスペースがなかったりと、実用面で貧弱なものが多い。
いくら素敵なデザインの額縁であっても額縁として使いにくかったり、汎用性が低かったらなんの意味もありません。
それに加え、既製額縁は詳細仕様が記載されていないものが多いのもいただけません。外寸と内寸はどの額縁でも記載されていますが、窓抜き寸法(写真が見える部分)や台紙マットが入るスペースがあるかどうかが記載されている額縁は非常に少ない。
また、側面の厚み(奥行)は掲載されていても、正面から見たフレームの幅は記載されていませんし、ひどいときは額裏の写真すら掲載していない場合もあります。
そんなマニアックな情報を知りたい方は少数派かもしれませんが、計算されたサイズで額縁に入れたいと考えている購買層にとっては貴重な情報、そのことを作り手側も販売者側も理解してもらいたいものです。
結局、それらの情報を知るにはどうするか、実物の置いてある販売店に電話してサイズを確認してもらうしかないのです。このようにして手間をかけて自分の望む仕様の額縁を消去法で消していくと、最終的にはなにひとつ望む額縁が残らないのが実際のところ。
ならば、
そう思い始めてから、僕はネットで既製額縁を探すのを辞め、オーダーメイドで額縁を作ってくれるお店を探し始めました。
僕が額縁に求める要件は以下の5点。使用する用紙サイズはA3ノビを前提とします。
以上の要件を満たす額縁を作ってくれそうなところを探したところ、木製額縁を作っていらっしゃるマツイ額縁という額縁屋さんを発見しました。
すぐに電話をかけ、自分が望む仕様の額縁が作れそうかどうかを尋ねたところ、想像していた以上に自分の要望が通りそうだったので、ここで作ってもらうことにしました。その後はメールでのやりとりで詳細仕様を伝え、数回のメールのやり取りの後に発注をしました。
以下はオーダーした際の額縁の仕様です。
数値だけではわかりにくいと思うので以下に図示してみました。茶色の部分が額縁、黒い部分が台紙マット、灰色の線で囲った内側がA3ノビ用紙を表しています。
台紙マットの幅は上下左右60mmずつにします。
上図の正面左側の例で説明すると「53mm + 5mm + 2mm」でちょうど60mm幅になります。5mm はA3ノビ用紙の余白部分、2mm は写真用紙の余白がチラ見えするのを防ぐために台紙マットを写真(絵のあるところ)に被せる部分です。
フレームサイズは、幅20mm X 奥行30mm としました。
フレームから面材までの深さは 7mm。既製額縁では5~6mm のものが多いので、気持ち高級感を出すために1mm 増やしてみました。
額裏の幅は13mm、裏板パネルの厚みは 10.5mm としました。この辺りの細かな数値の決定はマツイ額縁さんにお任せしました。
木材はアルダー材が希望でしたが、店長のご提案で「タモによく似た木目で、タモより少し白いホワイトアッシュ」(植物性オイル・クリア色)もあると提案いただき、せっかくなので我が家にはない木材で作ってもらうことにしました。
納期は約2週間とのことでしたが、それよりもわずかに早く10日ほどで届きました。
それではさっそく完成したオーダーメイド額縁を見ていきましょう。まずは全体写真から。以下写真で額縁についている紐は後から個別に用意したもので、実際には白の紐が付属していました。
以下は額縁四隅の拡大写真です。
表情豊かな木質、美しい木目、深みのある風合い、温もり感じられる木肌、どの角度から見ても惚れぼれしてしまう素敵な額縁です。角の繋ぎ目も自然で綺麗、一体感が感じられ、丁寧に作っていらっしゃるのが伝わってきます。
額縁を眺めているだけでニンマリしてしまいます。これは今までにインテリアショップで購入した既製額縁では味わったことがない感覚です。
次に、この額縁に低反射アクリルと台紙マットをはめていきます。
低反射アクリルは自然光や室内の環境光を吸収するので鑑賞時の光の映り込みを軽減してくれます。今回は、低反射アクリル + UVカット率60%(2mm厚)のものをジョイフル本田(JOYFUL-2)にて1630円で購入。
低反射+UVカット率99%のアクリルもあるにはあるのですが、ミュージアムアクリルとなるので値段が一気に10倍近く跳ね上がります。さすがにそこまで投資する金銭的余裕はないので通常の低反射アクリル(UVカット率60%)を選びました。
写真の入れ替えの回転を早くすればそれほどUVカット率を重視することもないと思います。また、絵画と違って写真はデータさえあれば同じものをプリントできるので、何十年も飾っていて古くなってきたら再プリントという方向で考えても良いと思います。
面材としてガラスにするか、それともアクリルか、という選択ですが、これはA4以上の大きなサイズの額縁ならば軽量で割れにくいのアクリルの方が適していると思います。
ジョイフル本田の店員さん曰く、「ガラスからアクリルに変える人はたくさんいますが、アクリルからガラスに変える人はほとんどいません」とのことでした。アクリルはガラスの3分の1の重さしかありませんし、万が一、地震で額縁が落下した際にもアクリルなら被害を最小限に抑えられるでしょう。
アクリルのデメリットは静電気が起きやすいのでホコリが付着しやすくなります。また、ガラスに比べて傷がつきやすくなります。ただそれも、帯電防止スプレーで対策できますし、傷に関しても丁寧に扱えばそう簡単に傷が入るものでもないでしょう。
以下写真が同じくジョイフル本田でオーダーした台紙マット。より立体感をひき出すために1.5mm厚のマットを2枚重ね、3mm厚のダブルマットとして使用します。1枚あたりの単価は1620円でした。
2枚の台紙マットの接着はジョイフル本田でやってもらいました。写真ではわかりにくいのですが台紙マットが2枚重なっているのが見えるでしょうか。
台紙マットの裏側には、写真用紙を固定させるためにピタック(中性紙の三角コーナー)を取り付けます。サイズは30cm、50cm、80cmのタイプがあり、今回は50cmタイプを使用しています。
このピタックに写真用紙を軽くたるませながら角を挿れます。これによって写真が下にズレ落ちるのを防いでくれます。
写真用紙を固定したら用紙の劣化防止のため、無酸台紙(アンダーマット)を重ねます。今回は 1mm厚の無酸台紙(約400円)を使用しました。
その上からさらに、厚み調整材としての発泡スチロール(約400円)を重ねます。今回は 3mm厚の発泡スチロールを使用しました。発泡スチロールの裁断もジョイフル本田でやってもらいました。
最後に、裏板パネル(10.5mm厚)をトンボで固定して完成!以下写真を見ての通り、額裏の造りが非常に丁寧なのは好感がもてます。
額裏の造りの良さは写真の入れ替えやすさにも直結するので、こういうところはやっぱりMADE IN JAPAN!マツイ額縁さんのクオリティの高さが垣間見れます。
さて、この額縁をどこに飾るのかというと、以前にも紹介したドブロヴニクの油絵がかけてあった玄関前の壁に飾ることにします。
この壁面はお客さんが玄関から入ってきて1番最初に目に入る場所ですし、スポットライトも設置してあるので額縁を飾るには最適な場所です。
ちなみに、写真右側に設置してある額縁は前の回で紹介したラ・ルースのキャビネサイズを飾っています。
なお、吊り金具は縦位置でも横位置でも飾れるように2箇所に設置してもらっています。
以上、我が家のオーダーメイド額縁の紹介でした。気に入る額縁が見つからないとお悩みの方は是非、オーダーメイド額縁で自分仕様の額縁を手に入れてくださいね♪
次回の話題は・・・考え中です(笑)。