外壁コーキング工事/シーリング材の作り方/建築日記81日目
スウェーデンハウス工事81日目。
前回までの時点で、ドア・バイフォールドドアの取り付け工事が完了しました。
ここでは外壁のコーキング工事について説明していきます。
現場ではコーキングとシーリングは同義で使われていることがほとんどですが、ここでは区別して説明しています。
外壁コーキングの寿命は一般的に、10年~15年に一度と言われ、施工方法と施工後の環境条件によって耐用年数は前後します。寿命がきたら、コーキングを剥がして打ち替え(打ち直し)をしたり、もしくは上塗り補修を行います。
コンクリートと同様に、コーキングを行うことをコーキングの打設とも呼ばれます。打ち替え時、2階建ての家は足場が必要になるので、それなりの費用(20万~30万程度)を要します。
今回は、防水性確保のために外壁サイディング材の隙間をコーキングしていきます。
工事をやってくれたのはコーキング業者のおじいちゃん。すごくかわいらしいおじいちゃんがひとりで作業を行なっていました。
おじいちゃん作業員は、ひとりで作業しているのがよっぽど寂しかったのか、興味津々な僕たちに、シーリング材の作り方を実演してみせてくれました。シーリング材は、ホームセンターなどで販売されている1成分形(湿気硬化型)のものもありますが、
と、誇らしげに教えてくれました。
2成分形というのは、要は2つ以上の液を混ぜて作られるシーリング材のことです。シーリング材を作るには、基剤と硬化剤、着色材の3点セットが必要になります。
以下写真に見えるプライマーといわれる接着剤は、コーキング打設前に施工場所に塗布することでシーリング材の接着性を高めます。
基剤として使うのは、横浜ゴムの商品で「さいでぃんクン」です。
基剤とセットで硬化剤がついてきます。「さいでぃんクン」を使用する場合は、プライマーNo55の接着剤を使用します。
窯業系サイディングボードは、ボード自体が乾燥による収縮で動きが発生するため、施工後にコーキングの目地幅が広がってしまいます。
そうなるとコーキングにひび、割れ、剥がれなどの要因となってしまいますが、その目地の動きに追従する柔軟性を持つのが、「さいでぃんクン」のような2成分形変性シリコーンで、難しい言葉で「応力緩和性が大きく低モジュラス」などと表現されます。
では、さっそくコーキングの作り方の説明に入ります。まず最初は基剤(さいでぃんクン)だけの状態です。基剤は最初、ペースト状になっています。
基剤の中に硬化剤を投入します。硬化剤は、ペースト状の基剤をゴム状に硬化させるために使用します。
最後に、シーリング材を外壁サイディング材の色に合わせるため、着色剤(塗料)を投入します。我が家の外壁材は、ニチハのコーラルストーンで、ベージュ色なのでそれに近い色を選びます。近い色がない場合もあります。
基剤、硬化剤、着色剤の混合比は、使用する材料によっても変わりますので、各シーリング材の説明書などを読みましょう。
ここまでの作業を終えたらそれぞれの剤をかき混ぜていくわけですが、混ぜる際には、
かくはん機の上に「さいでぃんクン」の容器を乗せ、その容器の中に先端がT字型になっている羽根と呼ばれるパーツを挿します。
この羽根は缶の大きさに合わせて交換することができます。4リットル缶なら4リットル缶用、6リットル缶なら6リットル缶用の羽根を使用しないと、うまく混ざらずに気泡ができてしまったりします。
電源スイッチをオンにして、かくはん機を回転させます。すると5秒後ぐらいに以下写真のような状態になります。
15秒後には逆回転します。
2分後には、ゴム状になってきました。
最後の方は、おじいちゃん作業員が自ら、ヘラを使って容器内をかくはん(撹拌)させます。特に、羽根の届きにくい隅っこの周辺を重点的にかき混ぜていました。
5分ぐらい左右に回転し終えるとと、シーリング材のできあがりです。
次に、できあがったシーリング材を目地に打設していくわけですが、変性シリコーン系シーリング材は2面接着でなければならないので、目地の底にバックアップ材を充填する必要があります。
普通に目地幅にシーリング材を打つと、左右2ヶ所だけではなく目地底にもシーリング材が接着する3面接着になってしまいます。
スウェーデンハウスの場合、外壁サイディング材の取付工事の際に、すでにバックアップ材が充填されていました。
バックアップ材は、シーリング材を節約できるところです。分厚いバックアップ材を用い、シーリング材は薄いというような場合は明らかな手抜き施工ということになります。
施工する目地箇所にマスキングテープを貼りつけ、横浜ゴムのプライマーNo55を使用して、刷毛などで塗布していきます。この時、プライマーの塗り残し、塗りムラなどがないように丁寧に塗布することが大切です。
プライマーの塗布が終了し、所定の乾燥時間を確保したら、いよいよシーリング材の充填です(以下写真)。コーキングガンを使用して、目地内にシーリング材を充填していきます。
コーキングガンの使用時、被着体に十分な圧力がかかるようにノズルの角度と充填するスピードを考慮します。シーリング材充填後は、すぐさまヘラ仕上げを行い、目地に圧力をかけながら平滑化させていきます。
最後にマスキングテープを剥がして、目地周りの清掃などを行なってコーキング作業は完了です。
マスキングテープは、長い間接着したままにしていると粘着が残る場合がありますので、剥がされていないマスキングテープがあったら、業者さん、もしくは現場監督さんにその旨を伝えておきましょう。
おじいちゃん作業員いわく、家全体のコーキングを打設するのにさいでぃんクンが6缶ほど必要になるそうです。コーキングも大変な作業なんですね。それでいて手の抜けない重要な作業なので、施主は施工手順をしっかり把握し、できるだけ自分の目でチェックするようにしましょう。
以下、コーキングが打設されてから2日後の写真です。もう完全に硬化しきっているようです。触ってみると、若干のベタツキ感があり、指で押すとプニプニとした弾力性を感じます。
上写真ではシーリング材は打ったばかりなのでキレイですが、年月が経つとホコリが付着してきます。半年経った我が家のコーキングにもそれなりに埃は付着していました。
それでも、「さいでぃんクン」のような変性シリコーン系シーリング材は、埃がつきにくいという特徴があるようです。
我が家の場合、経年変化で色あせたような外壁サイディング材を使用しているため、むしろ目地が薄汚れてくるのはかえって大歓迎だったりするのですが、
それについては、説明が長くなりそうなのでここでは割愛させていただきます(笑)。
なお、このページでは2成分形変性シリコーン系シーリング材について具体的に説明してきましたが、現場には1成分形ポリサルファイド系シーリング材というのもおいてありました。
東レのKANPEKI(完璧)というシリーズの外装材に使う専用のシーリング材です。これを我が家のどこに使ったのかまでは聞かなかったのでわかりません。
1成分形ポリサルファイド系のシーリング材は、単体で使用することができるので、硬化剤の入れ忘れがないし、配合ミスも防げます。
弾力性に優れ、目地の動きにも追従するので、ひび、割れ、剥がれを解消・防止してくれます。また、耐候性、耐油性、防塵性、防カビ性にも優れているので、目地汚れが少なく、美観を損なわないそうです。
以上、外壁コーキング工事についての説明は終了です。
次回は、北洋交易・家具フェアに行った時のことを紹介します。