コンクリート圧縮強度試験/建築日記42日目
スウェーデンハウス工事42日目。
前回は、北欧雑貨店ブロムステルアンナを紹介しました。
今日は、コンクリート検査会社で圧縮強度試験に立ち会ってきました。
28日経過後は、年始のゆっくりしたいときであろうとも、検査会社では圧縮強度試験を行わなければいけません。
これがテストピース用の型枠です。JIS(日本工業規格)により、テストピースの形状、寸法、試験体の作成方法が規定されています。
以下の写真は、28日前に採取したテストピースです。6本分を採取しました。採取の際は、テストピース型枠をハンマーでトントン叩きながら、生コンを型枠内に均等に行き渡らせます。
採取したテストピースは検査会社に持ち帰り、翌日から28日間、水中養生をします。
コンクリートは、乾燥をして固まるわけではなく、セメントの成分と水とが化学反応する水和反応(すいわはんのう)によって固まります。
コンクリートが完全に固まるまでには長い時間がかかり、硬化初期の場合は環境による温度変化を受けやすく、人間の手によって環境条件を整えてあげなければいけません。それが、現場で行う乾燥防止、凍結防止目的のための散水や養生シートによる湿潤養生です。
現場の構造物は、硬化初期の状態では水和反応に使われていない多量の水が含まれており(余剰水)、最初は水和反応が急速に進行しますが、24時間経過後は水和反応の速度が徐々に衰えてきます。
そして現場構造物は長い時間をかけて水和反応によってコンクリートが硬化されていきますが、テストピースのような小さな供試体の場合、屋外に放置しておくと供試体の内部までが乾燥してしまい、現場構造物と同じ強度がでなくなります。
そのため、テストピースの乾燥を防ぎ、湿潤状態を保つために、水中に放置しておく「現水」という養生方法を用います。
なお、現場水中養生の他に、コンクリートのポテンシャルを計測するために用いられるのが「標準養生」です。「標準養生」は、20℃の水中に沈めて28日間放置します。
また、「現空」という養生方法もあり、「現場空中養生」のことです。文字通り、現場の空気にさらしたまま、なにもせずに放置する養生方法です。前述した通り、テストピースのよう小さな供試体で現空養生を行うと、乾燥して水分が失われ、水和反応が起こらなくなるのでコンクリートの強度もでにくくなり、精度が低くなります。
以下がテストピースを現場水中養生しているところです。
それではいよいよ、圧縮強度試験の開始です。強度を測定するのは、以下のテストピース。3つのテストピースを圧縮試験機で押し潰し(潰しテストともいう)、どのぐらいの強度がでるかを計測し、最後に平均値を割り出します。
こんな機械を使って圧縮強度試験を行います。
上から圧力をかけてテストピースを押し潰しているところです。
液晶画面に数値が出されます。同じ事を3回繰り返します。
3回の計測の結果、平均36.1N/m㎡ という素晴らしい数字がでました! テスト合格です!
コンクリートの強度には、「設計基準強度」と「品質基準強度」、そして「呼び強度」が使われます。
この設計基準強度は18.0N/m㎡なので、我が家の36.1N/m㎡という数値はこの数値を大きく上回ってクリア!次に、「品質基準強度」ですが、
ここでは、品質基準強度は21N/m㎡ なので、これも数値を大きく上回って合格です!
最後に呼び強度ですが、
標準養生の場合、20℃の水中のなかで28日間テストピースを放置しておきますが、現場の構造物ではそれよりも悪条件の中に置かれているので、テストピースの強度を下回ってしまいます。
その強度差を見込んで、所定の時期に所定の強度になるように強度の割増を行います。そのことを、構造体強度補正値といい、設計基準強度にその補正値をプラスして発注したものが呼び強度になるというわけです。
この呼び強度は、僕たちの家の場合は27N/m㎡なので、この数値も大きく上回ってこれも合格!全項目合格でした!わーいわーい。
これで強度がでなくてやり直し~なんてことになってもそれはそれでブルーですからね(笑)。すでに家の外観はできあがってますしね・・・。記念としてテストピースをひとつだけもらって帰ってきました。新居ができたら庭のどこかに置いておこうと思います。
新年早々、うれしい報告がきけてよかったです♪
なお、最後に覚えておいてもらいたいこととして、圧縮強度試験は現場構造物のコンクリートの強度を推定するものであって、現場構造物がまったくその通りの強度になっているかをどうかを保証するものではないということです。
というのは、テストピースはあくまでもコンクリート受け入れ時の供試体であり、受け入れ検査後に生コンクリートが打設されるわけですから、
なので、施主としてさらなる安心を得たいのであれば、自らがコンクリート打設時の作業工程を把握したうえで、現場に出向いて工事現場を監視したり、あるいは素人がみてもわかりにくいので、メーカー側の現場監督や工事責任者に作業現場を監視してもらうなどの対策を講じてみるのも良いかもしれません。
次回は、資材搬入・墨入れについて説明していきます。