野面積み・門壁タイル張り・舗装工事/ザ・シーズン外構工事編

2012年3月27日(火)/野面積み・門壁タイル張り・舗装工事について解説

 

ザ・シーズン(セキスイエクステリア)、外構工事17日目。

前回は、門壁・階段工事の続きについて説明しました。今回は、西側道路面の舗装工事と野面積み工事について説明していきます。

 
野面積み(のづらづみ)とは、自然石を加工もせずにそのままの形で積み上げ、石同士が噛み合っていない積み方のことです。

 

まず、舗装工事をする場所にはインドの石材であるクラウディペイビング・モスを使用し、野面積みをする場所には英虞湾ロッカリー(あごわん)という天然石を使用します。天然石についての詳細は外構現地打ち合わせを参照してください。

 

真横から見るとこんな感じになります。

 

では、実際の工事風景を見ていきましょう。英虞湾ロッカリーは野面積みで施工してもらいます。そして、クロアチアの粗雑で荒々しいイメージを残すため、頂点は水平を揃えないようにしてもらいました。

 

クラウディペイビング・モスに関しては、チーフデザイナーさんのアイディアで石材の表面(おもてめん)ではなく、裏面を使うことになりました。

というのは、石材の表面(おもてめん)は全体的にフラットな素材になっているのですが、裏面には欠け割れ削れがあったりと経年劣化で風化したような自然な雰囲気をもっていたので、クロアチアで見た石畳の回廊を再現するには裏面のほうが適していると思われたからです。

 

ただし、裏面を使うことは正規の使い方ではないので、冬になると凍結して表面に割れが発生する可能性があるのでその点だけはご了承くださいとのことでした。

実際、1年間暮らしてきて様子をみた感想としては、確かに冬になると石材の表面がまるごとポロッと取れてしまうような割れはよく見られましたが、使用上、問題があるような致命的な割れはありませんでした。

仮に表面が割れたり、削れたりして取れてしまったとしても、それも味のひとつだと思える方には表面(おもてめん)を使うよりも裏面を使ったほうが面白いんじゃないかと思います。

ただし、雪国の場合、石材が雪に埋もれて凍結している期間が長期に渡るため、裏面での施工はオススメしません。言うまでもないことですがあくまでも自己責任でお願いします。

 

最期に、アングルを変えてもう1枚見ておきましょう。

 

次に、門壁のタイル張り工事の様子を紹介していきます。

門壁に使う石材は、クロアチアの輸入石材でアドリア・スライスという天然石を使います。この石は、世界遺産ドゥブロヴニクの城壁にも使われている石材です。

タイル張り工事の際には、タイル業者さんが1人やってきて、いつものおじいちゃん作業員さんと力を合わせて工事を行なってくれました。タイルひとつひとつ、大きさも表情も異なるので、地面に並べて使用するタイルを慎重に選んでいました。

 

以下写真は、門壁の裏側から見たアドリア・スライスです。

タイルを強力な接着剤で貼り付けていきます。一度貼りつけて固まってしまったものはタイルを壊さない限り取り外せなくなるので、ここは慎重な作業が求められます。タイルが接着剤で固定されるまでの間、タイルがずれ落ちてこないよう目地間に小さな小石を挟みます。

 

門壁のタイル張り工事の時、僕は現場にいたので職人さんにあれこれと注文をつけてしまいました。

裏側に貼りつけてしまった風合いのある石を取り外して正面側につけてほしいとか、この石が前にでしゃばりすぎているから石を割ってひっこめてほしいとか、キレイめな石ではなくできるだけ汚めの石を使って欲しいとか。

 

この門壁をデザインしてくれたザ・シーズンのチーフデザイナーさんも頻繁に現場を訪れてくれて、タイル張り工事の日も職人さんにいろいろと指示を与えてくれていました。

ここは目地が縦に通ってしまっているから張り替えてほしいとか、化石が見られる部分は正面に貼りつけたほうがいいとか、目地間の空白には細かい石を張り付けて欲しいなど。

このチーフデザイナーさん、気に入らないところがあればすぐに指摘して直してくれます。自分の世界観をもっていて、一切の妥協をしません。それゆえ、彼を指名するお客さんも多いようですよ(←現場の外構職人から聞きました)。

 

外構のおじいちゃん作業員は、「石材を適当に(ラフに)張りつけていって欲しい」という注文にはやや戸惑い気味だったようです。

日本の職人さんは基本的には仕事が丁寧な方がほとんどです。お客さんからの苦情を恐れ、水平や垂直、目地のラインなどをきっちりと揃えようとする傾向があり、大雑把に施工するというのが苦手なところがあるようです。

普段の僕たちなら、きっちり丁寧に施工してくれるのは大歓迎なのですが、

 
クロアチア風を貫くには丁寧すぎる施工ではダメだったのです。

 

もちろん、それは手を抜いても良いということではなく、ラフで大雑把なイメージで施工してほしいという意味です。

その大雑把具合の感覚には個人差があるので、それが外構のおじいちゃんを悩ませたようです。それでも、ひとつひとつの要望にとても親切に対応してくれて、作業が完了したあとでおじいちゃんは僕たちにこう言いました。

 
「もう二度とこの石は見たくないですね(笑)。」


そういいながらも、おじいちゃんの笑顔からは達成感を感じ取ることができました。

僕たちもその仕上がりに大満足だったし、おじいちゃんも心の中では良いものができたと思っていたことでしょう。石材を張り終えたあとのおじいちゃんの嬉しそうな笑顔を見て、なんだか僕たちまで嬉しくなりました。

より良いものを共に創り上げていく過程には産みの苦しみ葛藤もたくさんあるけれど、それが完成したときはなにものにも代えがたい満足感・達成感を得ることができるんでしょうね。

 

以上、本日の工事はここまでで終了です。

次回は、駐車場と階段の乱張りタイル工事について説明していきます。

 

 
 
 

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