CANON PRO-10 の購入/顔料機か?染料機か?
オーナーズブログ「おうちプリントのススメ編」について説明していきます。このコーナーは写真を撮ることが好きで、パソコンでRAW現像まではするけれどプリントはあまりしたことがないという方を対象にかいています。
おうちプリントのススメ編、第2回目。
今回は、自宅プリントをするにあたって必要となるプリンターを紹介していきます。ここで紹介するのは、「CANON PRO-10」というA3ノビ対応のプロ向けプリンターです。
PRO-10を買う前までは、EPSON の EP-805AW というスリム型の複合機を使っていました。EP-805AW は染料プリンタらしい鮮やかな発色でそこそこキレイな画質でプリントできるのですが、全てに満足がいってるわけではありませんでした。
特に、シャドウやハイライトの階調性に大きな不満を感じていました。写真には「黒」といってもライトグレーの領域もあればダークグレーの領域もある。モニターで見るシャドウの階調は滑らかなのにプリントになるとその階調性が乏しくなるのはちょっと残念な気持ちになります。
その他、動作音がうるさい、不快な異音を発する、頻繁にヘッドクリーニングをする、プリンタードライバーが使いにくい、印刷ソフトが貧弱など、操作性の面でも不満に感じることが多く、スリムタイプであるがゆえに犠牲にしている部分も多いのがこの機種のイケてないところ。
そんなわけでいっそプリンターを買い換えようということで選んだのが、今回紹介する CANON PRO-10です。パソコンをやりはじめてから15年近く、ずっとエプソンプリンタを使い続けてきた僕にとって、キヤノン機に変えたのは大英断でした。
よくよく考えれば、エプソンはカメラ事業なんてほとんどやっていないに等しいし、
と勝手に解釈(笑)。もちろん、エプソンもプロ機は素晴らしいプリンタを作ってます。
キヤノンプリンタの PRO LINEシリーズは、フラッグシップ機の PRO-1、顔料機の PRO-10、染料機の PRO-100 の3製品がラインナップされています。
PRO-1はインクにライトグレーとダークグレーの2色が加わって圧巻の12色インクなれど、維持費のほうがかかりそうだなと思い、最初から却下。
いままでは染料機しか使ったことがなかったので、顔料機に対しては若干、抵抗感がありました。レビューを見ても「モノクロをやりたいなら顔料でしょ」とか、「鮮やかな発色を求めるなら染料機以外は考えられない」などのコメントを見てしまうと、うーん、やっぱり使い慣れた染料機のほうが良いのかなと迷ったり…。
しかし、最終的に顔料機である PRO-10 に決めた理由は以下の4点。
僕自身、光沢紙よりも半光沢紙やマット紙あるいはアート紙を好んで使うほうなので、落ち着いた色合いがでやすい顔料機のほうが適していると思いました。
また、顔料インクは染料インクに比べて耐久性・耐候性が高いため、額装して飾ったり、長期保存にも向いています。
耐水性が高いのも顔料インクの強み。染料インクだと濡れた手で用紙に触ったり、会話中にちょっと唾を飛ばしてしまっただけでも写真に滲みが発生してしまいますが、顔料インクの場合はちょっと濡れたぐらいではすぐには滲みませんし、仮に濡れてしまっても乾けば元通り。
逆に、インクを染み込ませる染料インクに対し、顔料インクは表面にインクを付着させるので、引っかき傷に弱いのが顔料機の短所でもあります。
両者に一長一短があるので染料プリンタを選ぶべきか、顔料プリンタを選ぶべきかは非常に悩ましいところ。両方買えばすべて解決しますが、筐体のでかい PRO-10 と PRO-100 の2台を同時にもてる家庭はそうそうないでしょう。
僕から言えるアドバイスがあるとしたら、
そんなわけで前置きが長くなりましたが、さっそく CANON PRO-10 を紹介していきましょう。以下写真が、元箱の状態です。
まず最初に驚くのが筐体のデカさ!!店頭でも確認はしていましたが、実際に自分の家で見てみると想像以上の大きさを感じます。
重量は約20Kg!佐川急便の配達員はいとも軽そうに持っていましたが、自分で持ってみると腰が抜けそうになります。1階から2階に運んだだけでも相当な体力を消耗しました。
プリンターは設置場所もかなり重要です。足の細い机やガタツキのあるローボードなどに設置すると、プリンタの振動で机やボードごとぐらぐらと揺れてしまいます。安定したプリントをするためには土台がしっかりした机やローボードに設置するのが絶対条件です。
ちなみに我が家は、もうかれこれ5年ぐらい前に無印良品で購入した木製キャビネット(オーク材)の上に設置しています。
無印良品のキャビネットは足がガッチリしているのでプリント時にキャビネットがぐらついてしまうことはありません。ただし、以下写真のように壁際に設置してしまうと「後ろトレイ」からA3ノビで印刷する場合にキャビネットごと前に移動させなければいけないという面倒くささはあります。
※なお、キャビネットのガラス部分は赤ちゃんの安全のためにはずしてあります。
なお、CANON PRO-10 は Wi-Fi にも対応しているため、LAN端子のない場所でも設置は可能ですが、無線LANはなにかと不具合が起きやすいので、可能であれば有線LANで接続したほうがストレスなく、常に安定した動作が望めます。
これから家を建てる方で PRO-10 のようなサイズの大きなプリンターの設置を考えている方は、以下の3点に留意しておきましょう。
2番目と3番目の項目についてはA4サイズ以上の紙をプリントする場合に限った話ですが、PRO-10 を所有する購買層はA4サイズ以上を印刷する可能性が高いと思うので、できるだけプリンタの前方と後方にスペースが空くような部屋を設計をオススメします。
設置後は、プリンターヘッドを装着し、インクカートリッジをセットするだけです。PRO-10 は圧巻の10色インク!いままで使っていたエプソンの EP-805AWが6色だったので一気にステップアップした気分です。
「CO」インクというのは「クロマオプティマイザー」のことで光沢を均一にし、黒の濃度を向上する役割を果たしてくれます。
インクカートリッジを装填すると赤いランプが点灯します。インク交換の際は、交換対象のカートリッジの赤ランプが点灯から点滅に変わるので、どのカートリッジを交換するべきかがひと目でわかるように工夫されています。
以上、簡単ではありますが PRO-10 を開梱してからインクカートリッジをセットするところまで説明しました。ここでは PRO-10 の使い方までは言及しません。
とりあえず、開封してすぐのデフォルト設定で印刷してみた感想は、
自分の写真が数段もグレードアップしたような錯覚すら覚えます。僕は今までプリントの描写がモニターの画面を超えることはないと思っていましたが、むしろプリントされた絵のほうが黒がよくひき締まっていて重厚感を感じました。
正直、プリンタが変わるだけでここまで写真が変わるとは思ってもいなかったので驚きと感動を隠せません。
とはいえ、ときどきネットのレビューで見かけるのですがプリンターを PRO-10 に変えたからといって、環境を整えることなしにモニターで見ている色に近似してプリントができるかといえば、それは「NO」と言わざるを得ません。
僕もプリンターを PRO-10 にすればモニターと同じ色でプリントできるかもしれないという淡い期待を抱いていましたが、実際には露出がアンダー気味だったり、マゼンタかぶりしていたりと、色の微調整を強いられました。
これではいくらプロ向けプリンターを買っても状況は以前の複合プリンターと何ら変わりません。やはり、モニターで見たままの色あいをプリントで再現するためには(いわゆる、WYSIWYG=What You See Is What You Get)、
そんなわけで、次回は写真を閲覧するための環境光の整備について解説していきたいと思います。