可逆圧縮形式はFLACか?ALACか?/ネットワークオーディオの構築(4)
オーナーズブログ「ネットワークオーディオ構築編」について説明していきます。
前回までの時点で、ネットワークオーディオを構築するにあたって、音楽ファイルを保存しておくためのネットワークハードディスク(NAS)の購入の経緯について説明しました。
今回は、ハードディスクに保存していく音声ファイル形式について考えていこうと思います。なお、一般的な音楽データ形式のMP3やAAC、WAVなどに関する知識は知っているものとして話を進めさせていただきます。
音楽をハードディスクに保存(リッピング)していくにあたって1番悩ましい問題は、音声データのファイル形式です。
ハードディスクの大容量化が当たり前となった今、MP3 や AAC などの圧縮された音源ではなく、より高音質なファイル形式で音楽を保存することが現実的になってきました。
ましてや、これから高音質なオーディオシステムを構築しようと考えている方にとっては MP3 で音楽を聴くのは問題外・・・。
例えば、MP3 のビットレートを192kbps でエンコードしたとして、そのMP3データを無圧縮音源のWAV に戻したいと思っても絶対に不可能。不可逆圧縮では、音質を下げることはできてもあげることはできないのです。
そこで登場するのが可逆圧縮と呼ばれる音声データファイル形式。
ロスレス圧縮でデータを保存しておくと、圧縮をしても音質を取り込んだ時の状態、つまりCD音質である 16bit/44.1khzに一切のデータの欠落なしに、元の状態に戻す(復活させる)ことができます。
FLAC(Free Loss-less Audio Codec)は、オープンソース化されたフリーの可逆圧縮形式のことです。
これに対し、各メーカーがこぞって開発した独自のロスレス圧縮形式が、アップルロスレス(以後、ALAC)、WMA、ATRACなどで、ALAC(Apple Lossless Audio Codec)はアップル、WMAはマイクロソフト、ATRACはソニーのロスレス圧縮形式です。
正直、どのロスレス圧縮を選んでもそれは個人の自由なのですが、
非可逆圧縮で圧倒的なシェアを誇るMP3のような存在になるロスレス圧縮はどれなのか、それは私たちは見極めなければならないのです。
勿論、ロスレス圧縮をしておけば音質の劣化なしに簡単に元の状態(WAV)に戻せるし、他のロスレス圧縮にデコード(再変換)することも可能なので、どれを選んでも問題はありません。
問題があるとすれば、
自分が持っている音楽データが、再生側のネットワークプレーヤーで特定のロスレス圧縮が非対応の場合、そのプレーヤーで聴くためには再変換する手間を強いられるからです。大量の曲データを所有する方にとっては、これほど面倒な事はないでしょう!
では、現在はどのファイル形式が一般的なのか。
結論から言うと、2012年5月現在、市販のネットワークプレーヤーのほとんどはFLACには対応していましたが、アップルのALACには対応した機種は一部しかありませんでした。
ALAC対応の機種が一部しかなかった理由は、
ALACがオープンソース化されたことで、各メーカーは自由にALACを使うことができるようになりました。当然、iTunesの圧倒的なシェアを誇るアップルのロスレス圧縮ですから、各メーカーはALACに対応させないわけにはいかなくなってきます。
そのALACにいち早く対応させたネットワークプレーヤーが、僕が知るかぎりでは YAMAHAの上位機種であるNP-S2000 です。以後、ALACを再生できるネットワークプレーヤーが徐々に増えていき、今後、拡大の一途を辿るのは間違いないでしょう。
つまり、いま考えるならば(2012年12月現在)、
ただ、僕がネットワークオーディオを検討していた2012年3月現在では、ALACに対応した機種は新しく登場してくるAVアンプを除けば上述した NP-S2000だけでした。
NP-S2000は、市場価格で16万円(2012年5月現在)もしていたので、高すぎる価格ゆえに選択肢から除外していました。
また、僕が2月にヨドバシに足を運んだときには、ハイレゾ音源(24bit/192kHz)を再生できるネットワークプレーヤーは、パイオニアの N-50 しか選択肢がなく、そのN-50でハイレゾ音源を再生できるファイル形式はFLAC か WAV のみでした。
となると、
そんなわけで、僕はFLACを採用することに決めたわけですが、FLACを採用するにあたってまったく問題がないわけではありませんでした。
その問題については、長くなりそうなので次回の説明に回したいと思います。