「エアコン28度設定で快適な家」は本当か?/暮らしのダイアリー
オーナーズブログ「暮らしのダイアリー」、第13回目の日記は、スウェーデンハウスがエアコン28度設定で快適な家なのかどうか、オーナーの視点から考察してみます。
まず最初に基本知識として頭に入れておいて貰いたいのは、
この謳い文句は営業さんの常套句でもありますし、実際、スウェーデンハウスが「28度設定で快適な家」という見出しタイトルでインターネット広告を出しているのを何度か見かけたことがあります。
このように自信を持っていえるのは、ひとえにスウェーデンハウスの高気密・高断熱性能のおかげですが、では実際にその謳い文句がどこまで正しいのか、オーナーの視点から考察していきたいと思います。
以下で述べることはあくまで、いちスウェーデンハウスオーナーとしての意見であり、全てのスウェーデンハウス住宅に当てはまるわけではありませんので悪しからず。
では最初に、我が家のエアコンの設置場所からご覧ください。
我が家では1階に1台、2階に3台、計4台のエアコンが設置されています。以下の設計図にエアコンの使用頻度順に①~④までの番号を振ってあります。
基本、使う頻度が高いエアコンは1階の①番と 2階の②番です。書斎の③番は時々使いますが、寝室にある④番はめったなことがない限りは使いません。
この基本原則にならって、我が家では、
しかし、やはり真夏・真冬になってくると1台のエアコンだけでは家全体を快適な温度に保つことは難しくなってきます。その場合、
そして、
エアコンを24時間連続稼動させるのは、スイッチのON/OFFをむやみやたらに繰り返すことでかえって電気代がはね上がってしまうのを避けるためです。
また、高気密・高断熱住宅では家の中が魔法瓶状態になるため、いったん冷やしたり暖めた部屋の温度は長時間持続します。それゆえ、エアコンを常時稼動させておいてもフル稼働している時間は短いため、少ない消費効率で部屋の温度を維持できます。
逆に、エアコンをつけたりつけなかったりを繰り返すと、魔法瓶状態が維持できず、部屋を温めなおしたり、冷やしなおしたりするのに必要以上にエアコンのパワーを使ってしまい、電気代も高くなりがちです。
これが高気密・高断熱住宅でない従来型の住宅の場合は、冷やした空気がすぐに抜け出てしまい、エアコンがフル稼働している時間帯が長くなるので電気代も当然、高くなります。オール電化でない住宅であればなおさらでしょう。
次に、エアコンの温度設定についてみていきましょう。
スウェーデンハウスでエアコンを28度設定で常時稼働させると、高気密・高断熱の恩恵を受けて、家中がほぼ均一な温度で包まれるので快適指数はぐんとあがります。
しかし厳密には、
僕は寒がりだけど暑がりではない、わかなちゃんは暑がりだけど寒がりではない、両者真逆の体感温度の人が同じ屋根の下で暮らした場合、僕は快適だけどわかなちゃんはそれほど快適ではないという状態に陥ります。
結局、我が家では両者の折り合いを合わせて基準温度の28℃から 1℃~2℃下げて26~27℃設定にしていることがほとんどです。一人暮らしならまだしも家族で住んでいる場合、人それぞれ体感温度が異なりますし、家族の人数が増えれば家の温度も上昇します。
よって、28度設定にしても暑いときは暑いし、28度設定にしたからといって必ずしも快適な温度になるとは考えないほうが良いでしょう。
それと個人的な感じ方ではありますが、28度設定というのはじっとしていれば確かに快適な温度なのですが、家事などで動いたりしたら途端に暑さを感じる温度だと思います。
次に、スウェーデンハウスのもうひとつの謳い文句である「家中どこでも同じ温度」について考えてみたいと思います。
まず、オーナーとして感想を述べさせていただくと我が家は、1階と2階のエアコンを2台同時稼働させておくことで(上記設計図の①番と②番)、
しかし、冬の場合はちょっと違います。
具体的に我が家の例をだすと、玄関から廊下にかけての空間と子供部屋は、温度計上の数値ではリビングに比べて温度がマイナス2℃低くなります。以下、設計図で青く囲った部分がその該当箇所です。
マイナス2℃低いということは、リビングが20℃を保っていた場合、玄関から廊下の空間と子供部屋は18℃ということになります。
人が寒いと感じる温度には差がありますが、一般的に室温が18℃を切ったら肌寒さを感じるようになるのではないでしょうか。室温20℃以上が快適に過ごせる温度だとすれば、マイナス2℃の温度差は決して無視のできない温度差なのです。
もちろん、従来の住宅と比較したら±2℃程度では温度差があるうちには入らないと怒られてしまいそうですが、「家中どこでも同じ温度」を謳うスウェーデンハウスとしては2度差は大きな差であるといわざるを得ないでしょう。
では、なぜこのような温度差が生じてしまうのか。その理由は2つあると考えています。
と考えています。
設計図をみてもらうと分かる通り、我が家の間取りではリビングから階段の吹き抜けを通って玄関から廊下の空間 へと繋がっているので、玄関から廊下の空間に暖かい空気が流れ着く前に、階段の吹き抜けから暖かい空気が2階へと逃げていってしまうのではないかと推測しています。
と推測しています。説明をわかりやすくするために写真を用意しました。
以下写真でわかる通り、リビングから廊下に至るまでの間に約20cmほどの下がり壁が存在します。暖かい空気が上に溜まるのであれば、この下がり壁が障壁となり、暖かい空気はそのまま階段の吹き抜けを通って2階へ逃げてしまうのではないかと考えています。
我が家で温度差を感じる箇所といえば玄関から廊下の空間と子供部屋だけなので、天井の下がり壁が空気の流れる方向を制限していると考えるのが自然ではないかと思います。
実を言うとこの下がり壁、打ち合わせ段階の後半になって天井高が低くなってしまうことを知らされ、やむなく了承した箇所でもあります。本来ならこのようになることはないのですが、我が家の場合、天井裏の24時間換気システムの上(2階部分)に浴室が設置されていることが影響し、天井高を下げざるを得なくなってしまったのです。
このように空気の流れが変わる可能性があると打ち合わせの早い段階で知っていればなんとか回避したはずですが、さすがに設計段階ではそこまでは頭が回りませんでした。
以上の考察から一言でまとめると、
と言えます。
このことは、スウェーデンハウスの設計士が、間仕切りの少ない開放的な空間をデザインしたがることからも説明がつくのではないでしょうか。
ではもし仮に、リビングを総吹き抜けにしたら空気の流れはどう変わるのでしょうか。残念ながら、それに関しては我が家がリビング総吹き抜けではないので検証することができません。もしスウェーデンハウスオーナーの方でリビング総吹き抜けの方がいらしたら情報をお待ちしています(笑)。
ひとつ言えることは吹き抜けがあった場合、夏の冷房では問題は生じなくとも、冬の暖房の際には暖かい空気は横に広がらずに垂直に上昇してしまい、2階だけがポカポカ暖かいという問題が生じます。
それを回避するためにも、シーリングファンやサーキュレーターなどで機械的に空気を攪拌(かくはん)させる必要がでてくるでしょう。
以上、これにて第13回目の「暮らしのダイアリー」は終了します。